二人の素敵な女性がいて、どちらも魅力的で、どちらとも結婚生活を想像できる。でも、選べない。夜、ベッドに入っても考えてしまう。朝起きても答えが出ない。友人に相談しても「好きな方を選べばいいじゃん」と言われるだけで、何の解決にもならない。
この苦しみ、私はよく分かります。なぜなら、この迷いというのは単純に「どちらが優れているか」という問題ではないからです。むしろ、この迷いが示しているのは、あなた自身が「自分はどんな人生を歩みたいのか」「どんな人間として生きていきたいのか」という根本的な部分が定まっていないということなのです。
結婚は恋愛の延長線上にあるようでいて、実は全く別物です。恋愛は「今」の感情を楽しむものですが、結婚は「未来」を共に築いていくものです。だからこそ、恋愛時代には気にならなかったことが、結婚後には致命的な問題になることもあれば、逆に地味だと思っていた要素が何よりも大切な支えになることもあります。
今回は、結婚カウンセリングの現場で語られる事例や、心理学の知見、そして実際に同じ悩みを抱えて決断を下した男性たちの体験談をもとに、後悔しないための選択基準をお伝えしていきます。
まず理解していただきたいのは、一般的に言われる「好き」という感情だけでは、結婚相手を選ぶ基準として不十分だということです。もちろん、好きという感情は大切です。しかし、「好き」には様々な種類があります。ドキドキする好き、安心する好き、尊敬する好き、執着する好き。あなたが感じている「好き」は、果たして30年、40年と続く結婚生活を支えられる種類の好きなのでしょうか。
ここからは、一般的な恋愛指南書には載っていない、逆説的だけれど本質的な視点をお伝えします。これらは、多くの夫婦が「もっと早く知りたかった」と口をそろえる視点です。
一つ目は、加点方式ではなく減点方式で考えるということです。私たちは恋愛中、相手の長所ばかりに目が行きがちです。彼女は料理が上手、彼女は社交的、彼女は教養がある。確かにこれらは素晴らしい長所です。しかし、長所というのは不思議なもので、時間が経つと「当たり前」になっていきます。最初は感動した手料理も、5年経てば日常になります。最初は魅力的だった社交性も、10年経てば普通のことになります。
一方で、短所はどうでしょうか。短所は慣れるどころか、時間が経つほどに気になるようになることが多いのです。彼女の金遣いの荒さ、時間にルーズな性格、人の話を最後まで聞かない癖、部屋を片付けられない習慣。これらの「嫌な部分」を、あなたは20年後も笑って許せるでしょうか。あるいは、気にならないと思えるでしょうか。
極端な言い方をすれば、結婚相手を選ぶということは「どの短所となら一生付き合えるか」を選ぶことなのです。彼女の最も嫌な部分を思い浮かべてください。それを毎日、何十年も見続けることになります。それでも大丈夫だと思えるなら、その人こそがあなたの伴侶にふさわしい人かもしれません。
二つ目は、沈黙の心地よさです。これは見落とされがちですが、非常に重要な要素です。会話が弾む相手、話していて楽しい相手というのは確かに魅力的です。一緒にいると刺激があり、退屈しません。しかし、結婚生活の大部分は、実は特別なことのない日常なのです。
仕事から疲れて帰ってきた夜、休日の午後、何気ない朝の時間。こうした何でもない時間に、無言で同じ空間にいることが苦にならない相手はどちらでしょうか。話さなくても気まずくない、沈黙が居心地悪くない。むしろ、その沈黙が心地よいとさえ感じられる。そんな関係性を築けるのはどちらの女性でしょうか。
会話が盛り上がる相手は「刺激」をくれます。でも、沈黙が心地よい相手は「安らぎ」をくれます。結婚生活において、刺激と安らぎのどちらがより重要か。答えは明白です。なぜなら、人生の8割は平凡な日常だからです。毎日がドラマチックな展開の連続なんてことはありえません。その日常を、心穏やかに過ごせる相手を選ぶことの価値を、もう少し真剣に考えてみてください。
三つ目は、人生のどん底を想像することです。これは少し暗い話かもしれませんが、とても重要です。あなたが重い病気にかかったとき、仕事を失って無収入になったとき、大きな失敗をして世間から非難されたとき。そんな最悪の状況で、隣にいてほしいのは誰でしょうか。
ここで大切なのは、励ましてくれる人を選ぶのではないということです。もちろん励ましも必要ですが、それ以上に必要なのは、ただ黙ってそばにいてくれる人です。「この人となら、たとえ泥水をすすることになっても構わない」と思える相手。あるいは、相手があなたに対してそう思ってくれそうな相手。それはどちらの女性でしょうか。
順風満帆なときは誰といても楽しいものです。本当の絆は、逆境で試されます。人生には必ず困難が訪れます。そのとき、あなたの弱さを見せても、惨めな姿を見せても、それでも変わらず隣にいてくれる。そんな関係を築けるのはどちらでしょうか。
四つ目は、家族に対する価値観の一致です。これは恋愛中には見えにくい部分ですが、結婚後に最も問題になりやすい要素です。「愛があれば何でも乗り越えられる」というのは、残念ながら幻想です。実際の結婚生活は、愛だけでは解決できない具体的な問題の連続です。
お金の使い方をどう考えるか。子供の教育方針はどうするか。親との距離感をどう保つか。休日の過ごし方、家事の分担、将来どこに住むか。これらの「生活のルール」に関する価値観が一致していないと、どんなに愛し合っていても、日々の摩擦でその愛は徐々にすり減っていきます。
彼女の金銭感覚は、あなたと合っているでしょうか。子供を持つことや、その育て方について、基本的な考え方は似ているでしょうか。親を大切にする姿勢や、家族との距離の取り方は、あなたの価値観と近いでしょうか。これらの質問に、より多く「はい」と答えられる相手を選ぶべきです。
ここで、実際に同じ悩みを抱えた男性たちの体験談を紹介しましょう。彼らの選択とその結果は、あなたの判断材料になるはずです。
まず、33歳の男性の話です。彼は華やかで趣味も合う女性と、地味だけれど料理が上手で穏やかな女性の間で悩んでいました。前者の女性といると刺激的で、毎日が楽しい。後者の女性といると落ち着くけれど、少し退屈に感じることもありました。
彼は悩んだ末、自分を成長させてくれそうだという理由で前者の女性を選びました。結婚当初は確かに楽しかったそうです。しかし、次第に彼女の浪費癖が目につくようになりました。また、常に注目されていたい、特別扱いされたいという彼女の欲求に応え続けることに疲れ果てていきました。
結婚3年で、二人は離婚しました。彼は今、こう語っています。「後者の女性といたときの、自分を飾らなくていい安心感、ありのままの自分でいられる居心地の良さこそが、結婚生活に本当に必要なものだったんだと、失ってから気づきました。刺激は外で得られるけれど、安らぎは家でしか得られない。その大切さを理解するのが遅すぎました」
もう一人、37歳の男性の体験も聞いてみましょう。彼は、見た目も性格も猛烈に好みだった女性と、特別にタイプというわけではないけれど価値観が驚くほど似ている女性の間で迷っていました。前者は胸が高鳴る相手、後者は一緒にいて楽な相手でした。
最終的に彼が決め手にしたのは、「笑いのツボが同じ」ということでした。些細なことかもしれませんが、同じことを面白いと感じられる、同じタイミングで笑える。それは価値観の一致を象徴していると感じたそうです。
結婚して10年が経った今、彼はこう言います。「確かに、最初のドキドキはもうありません。でも、大きなトラブルがあったときも、二人で同じことを面白がれる強さは何物にも代えがたいものでした。彼女は妻であり、母であり、そして最高の親友です。恋人としてのドキドキは消えましたが、人生のパートナーとしての絆は日々強くなっています」
さて、ここまで聞いて、あなたの心は少し整理されてきたでしょうか。それでもまだ迷っているなら、以下の思考エクササイズを試してみてください。これはあなたの本当の気持ちを引き出すための質問です。
まず、二人が同時にあなたの前から消えてしまったと想像してください。事故でも、引っ越しでも、理由は何でもいいです。ただ、明日から二度と会えない、連絡も取れない。そうなったとき、「取り返しのつかないことをした」と絶望し、どうしても取り戻したいと必死になるのはどちらでしょうか。
もし片方を失っても「まあ、仕方ないか」と思えるなら、その人はあなたにとって「条件」で選ぼうとしていた相手かもしれません。本当に大切な人を失ったら、理性ではなく本能的に取り戻したくなるはずです。
次に、10年後の日曜日の朝を想像してみてください。隣で寝ているのは誰がいいですか。一人目の女性なら、早起きして一緒にジョギングに行き、おしゃれなカフェでブランチを食べる。二人目の女性なら、昼まで一緒にダラダラして、家で適当にパスタを作って食べる。
どちらの光景が、あなたにとって「ホーム」に感じられますか。どちらが、無理をせず本来の自分でいられる風景ですか。10年後も続けられるのはどちらですか。おしゃれなブランチは月に1回なら楽しいですが、毎週末だったらどうでしょう。逆に、毎週ダラダラする生活を想像したとき、それが退屈に感じるなら、あなたは別の生活スタイルを求めているのかもしれません。
最後に、少し厳しいことを言います。もし、どちらを選んでも後悔しそうだと感じているなら、今はまだどちらも選ぶべきではないのかもしれません。あるいは、本当に選ぶべき「三人目」が他にいる可能性も考えてみてください。
二人で迷うということは、どちらも決定打に欠けているということです。本当に運命の相手なら、迷わないという意見もあります。もちろん、完璧な相手などいませんから、ある程度の迷いは自然です。しかし、長期間にわたって決められないほどの迷いなら、それは「どちらも違う」というサインかもしれません。
さて、あなたがどちらかを選んだとしましょう。その後、何をすべきか。それは、選ばなかった方の選択肢を脳内から完全に消去することです。これは非常に重要です。
結婚生活には必ずトラブルが訪れます。喧嘩もするでしょう。相手の嫌な面を見ることもあるでしょう。そんなとき、「もしあっちの女性を選んでいれば、こんなことにはならなかったのに」という比較を始めたら、それは破滅への第一歩です。
この「もしも」の物語、つまりIfのシナリオは、人を不幸にします。なぜなら、選ばなかった相手は永遠に理想化されたままだからです。欠点は忘れ去られ、長所だけが記憶に残ります。実際に結婚していたら見えたであろう問題点は、想像の中では決して現れません。
だからこそ、一度決断したら、「自分が選んだ方が正解だった」と時間をかけて証明していく覚悟が必要です。選んだ相手との関係を大切に育て、共に困難を乗り越え、思い出を積み重ねていく。そうして、あなた自身の手で「正解」を作り上げていくのです。それが、結婚における責任であり、成熟した大人の選択というものです。
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