結婚生活を送るなかで、ふと気づいたことはありませんか。夫婦というのは本来、お互いを支え合い、尊重し合うパートナーであるはずなのに、いつの間にか自分だけが我慢を強いられている、いつも相手の顔色を窺っている、そんな関係になってしまっていることに。もしあなたがそう感じているなら、それはもしかすると、パートナーが妻を大切にしない夫の特徴を持っているからかもしれません。
妻を大切にしない夫の言動や態度には、実は明確なパターンがあります。そしてそれらの多くは、モラルハラスメント、いわゆるモラハラと呼ばれる精神的な暴力と深く結びついているのです。モラハラは身体的な暴力とは違って目に見えにくく、周囲にも気づかれにくいという特徴があります。だからこそ、被害者である妻自身も「これはモラハラなのか」「私が悪いのではないか」と混乱してしまうことが多いのです。
特に厄介なのは、モラハラ気質を持つ男性は、結婚前と結婚後で態度が激変することが珍しくないという点です。交際中はあんなに優しかったのに、入籍したとたん、あるいは子どもが生まれたとたん、まるで別人のようになってしまった。そんな経験をした女性は決して少なくありません。だからこそ、恋愛の段階でその兆候を察知し、見抜くことが何よりも重要になってくるのです。
では、妻を大切にしない夫には、具体的にどのような特徴があるのでしょうか。それらを詳しく見ていきましょう。
まず最も顕著なのが、自己中心的な言動と、相手を支配しようとする欲求です。こういった夫は、自分の意見や価値観こそが絶対的に正しいと信じて疑いません。「俺の言うことが絶対だ」という態度が根底にあり、妻の意見や希望には一切耳を貸そうとしないのです。夫婦というのは本来、意見が違ったときこそ話し合い、お互いの考えを尊重しながら妥協点を見つけていくものですよね。でも、こういうタイプの男性は、そもそも妻を対等なパートナーだと思っていません。自分の方が上で、妻は従うべき存在だと考えているのです。
さらに恐ろしいのは、不機嫌な態度や無視によって相手をコントロールする手法です。これはサイレントモラハラとも呼ばれるもので、突然不機嫌になり、話しかけても無視する、あるいは冷たい態度を取り続けることで、妻に「どうしたの?」「私が何か悪いことをした?」と言わせるのです。妻が理由を尋ねても「お前が自分で気づけ」「わかってないお前が悪い」などと説明を拒否します。こうして妻は常に夫の機嫌を取ることを強いられ、精神的に疲弊していくのです。
行動の制限や監視も、妻を大切にしない夫によく見られる特徴です。妻が友人と会うことを嫌がったり、実家に帰ることを制限したり、あるいは仕事や趣味に反対したりします。一見すると「君のことが心配だから」「二人の時間を大切にしたいから」と優しい理由づけをすることもありますが、その本質は妻を社会的に孤立させ、自分以外の人間関係を断つことで、よりコントロールしやすくするという意図なのです。孤立した妻は相談する相手もおらず、夫の言動が異常だと気づくこともできなくなってしまいます。
次に挙げられるのが、人格の否定と責任転嫁です。こういった夫は、日常的に妻を見下し、バカにするような言葉を投げかけます。「お前はアホだ」「こんなこともできないのか」「だから女は困る」といった暴言は、妻の人格そのものを否定するものです。最初は反発していた妻も、こうした言葉を浴び続けるうちに、本当に自分がダメな人間なのだと思い込んでしまうようになります。これがモラハラの最も恐ろしいところです。
家事や育児を軽視する態度も典型的です。「主婦のくせに大したことはしていない」「俺の稼ぎで食わせてもらっているくせに」などと言い放ち、妻が日々こなしている家事労働を全く評価しません。家事や育児がどれほど大変で価値のある仕事かということを、彼らは理解しようともしないのです。あるいは理解していても、それを認めてしまうと妻を見下せなくなるため、わざと軽視するのかもしれません。
そして何より厄介なのが、自分の非を絶対に認めないという点です。明らかに自分がミスをしても「お前のせいでこうなった」「お前がちゃんとしていればこんなことにならなかった」と、責任をすべて妻に押し付けます。謝罪をすることは決してなく、逆に妻に謝罪を強要することさえあります。「お前が悪いんだから謝れ」と。こうした理不尽な状況に置かれた妻は、次第に自分の感覚や判断を信じられなくなっていきます。
さらに注目すべき特徴が、外面の良さと裏表の激しさです。モラハラ気質の男性の多くは、家の外では驚くほど良い人なのです。職場の同僚や友人、近所の人々、そして自分の親族などに対しては、非常に親切で穏やかな態度を取ります。だからこそ、妻が周囲に相談しても「あんな良い旦那さんなのに」「あなたが神経質なんじゃないの」と理解されないことが多いのです。しかし家に帰ると一変し、横柄で攻撃的な態度になります。この激しいギャップが、妻をさらに混乱させます。
世間体を異常に気にするのも特徴の一つです。周囲からどう見られているかを非常に気にし、自分の評判を守るためなら、妻に無理な行動や発言を強いることも厭いません。外では完璧な夫婦を演じることを要求し、妻が少しでもそれに反する行動を取ると、家に帰ってから激しく責め立てるのです。
こういった特徴を持つ夫との生活は、妻にとって想像以上の苦痛です。しかし、もしこれから結婚を考えているなら、恋愛の段階でこうしたモラハラ気質を見抜くことができれば、将来の不幸を避けることができるかもしれません。では、交際中や結婚前に、どのようなポイントをチェックすればよいのでしょうか。
まず注目してほしいのが、店員や年下の人への態度です。これは本当に重要なチェックポイントです。人間の本性というのは、自分より立場が下だと思っている相手への態度に最も顕著に現れます。飲食店やコンビニの店員、駐車場の警備員、後輩や部下など、自分より弱い立場にいると見なした人に対して、横柄な態度や高圧的な言葉遣いをしていないか、よく観察してみてください。
ある女性の体験談があります。彼女の彼氏は、普段は本当に穏やかで優しい人でした。デート中もいつも笑顔で、彼女に対しても丁寧に接してくれていました。ところがある日、駐車場で警備員に駐車位置を注意されたとたん、彼は豹変したのです。急に顔を真っ赤にして、警備員に対して「何様のつもりだ」「お前に言われる筋合いはない」と怒鳴り散らし、逆ギレしたのです。彼女はその瞬間、今まで見たことのない彼の姿を目の当たりにし、情けなさと同時に深い恐怖を感じたと言います。結局、彼女はこの件をきっかけに、彼との将来を考え直すことにしました。後から振り返れば、これは正しい判断だったと思えたそうです。
次にチェックすべきなのが、価値観の違いに対する反応です。人間ですから、趣味や考え方が完全に一致することなどありません。大切なのは、意見が合わないときにどう対応するかです。あなたが彼の意見と異なる趣味や考えを話したとき、それを尊重してくれるでしょうか。それとも見下したり、「低俗だ」「間違っている」「そんな考え方はおかしい」などと頭ごなしに否定してくるでしょうか。
また、過度な節約や支配の兆候にも注意が必要です。「お前のためを思って」という名目で、あなたの自由な出費や行動を過剰に制限しようとしないか。あなたの収入や仕事にまで口を出し、自分の都合の良いようにコントロールしようとしないか。こうした兆候は、結婚後にさらにエスカレートする可能性が高いのです。
感情のコントロールも重要なチェックポイントです。誰でも怒ることはありますが、その怒り方に問題はないでしょうか。少しでも気に食わないことがあると、突然激昂したり、急に黙り込んで無視したりしないか。そして何より、喧嘩やミスで彼に非がある場合でも、素直に「ごめん」と言えるかどうか。謝罪を求めると逆ギレして、結局あなたのせいにしてこないか。これらは将来的なモラハラ行動を予測する上で、非常に重要な指標となります。
過去の恋愛や人間関係についての語り方も、その人の本質を表します。元恋人や職場の人間関係について話すとき、すべて相手のせいにして責めるような発言ばかりしていないでしょうか。「元カノは俺のことを理解してくれなかった」「職場の人間は俺の良さがわからない」といった被害者意識の強い発言が目立つなら要注意です。
また、「俺のつらさは誰もわかってくれない」といった自己憐憫や、「お前だけが俺を理解してくれる」という特別扱いのアピールが過剰な場合も警戒が必要です。最初はそう言われて嬉しく感じるかもしれませんが、これは将来的にあなたを孤立させ、「俺を理解できるのはお前だけなんだから、お前が俺に尽くすのは当然だ」という論理に繋がっていく危険性があります。
ここで、実際にモラハラ夫と生活した女性の体験談を紹介しましょう。この話は、モラハラの本質を理解する上で非常に示唆に富んでいます。
ある女性の夫は、仕事が忙しく疲れていると、家に帰ってきたとたん露骨に不機嫌な態度を取るようになりました。リビングに入ってきてもソファに無言で座り込み、妻が「お疲れ様、今日はどうだった?」と声をかけても、ため息をついて無視するか、「うるさい」と一言返すだけでした。
妻は心配になって「どうしたの?何かあったの?」と優しく尋ねます。しかし夫は「お前が聞いてもわかることじゃない」「お前には関係ない」と突き放す態度を取りました。それでも妻は、夫の疲れを癒やそうと、夫の好きな料理を作ったり、マッサージをしようと提案したりしました。しかし夫は「そんなもので俺の疲れが取れるわけないだろ」と冷たく言い放つのです。
こうした状況が続くうち、妻は夫が不機嫌になるたびに「自分が何か悪いことをしたのではないか」「夫を癒やさなければ」と緊張するようになりました。常に夫の顔色を窺い、少しでも機嫌が悪そうだと察すると、先回りして夫が喜びそうなことをしようと必死になったのです。家事も完璧にこなし、夫の言うことには何でも従い、自分の意見は言わないようにしました。それでも夫の不機嫌は収まらず、むしろ時間が経つにつれてエスカレートしていきました。
ある日、妻は思い切って夫にこう尋ねました。「私、何か悪いことをした?どうしたらあなたの機嫌が良くなるの?」すると夫は、まるで待っていたかのように怒りを爆発させました。「お前が何もわかってないから俺は疲れるんだ」「お前がもっと気を利かせてくれれば、俺はこんなにイライラしない」「全部お前のせいだ」と。
妻は混乱しました。どう気を利かせればいいのか、何をすれば正解なのか、まったくわからなかったのです。そして気づいたときには、妻は完全に自信を失い、自分はダメな妻なのだと思い込むようになっていました。友人との付き合いもやめ、実家にも帰らず、ただひたすら夫のために尽くす日々でした。
後になって、カウンセリングを受ける中で妻は気づきました。夫は、自分が疲れたり思い通りにならない時に、妻を攻撃したり支配したりすることで優越感を得て、精神的なバランスを保っていたのです。つまり、夫のストレス発散の対象として、妻が利用されていただけだったのです。夫は決して妻を対等なパートナーとは見ておらず、自分の感情の捌け口、所有物のように扱っていたのです。
この体験談から学べることは何でしょうか。それは、モラハラというのは愛情とは全く別物だということです。本当にあなたを愛している人は、たとえ自分が疲れていても、イライラしていても、あなたを攻撃したり見下したりはしません。むしろ「ごめん、今日は疲れているから少し休ませて」と素直に伝え、あなたの気遣いには感謝の言葉を返すはずです。
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